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アンファッショナブル・ファッション日記 2007年4月

No.2 (2007年4月)

4月某日 もしや、神戸。


本日はハリウッド衣装展に行く。東京大丸、神戸大丸、そして京都大丸へ巡回する。なかなか見応えあり。モンローの花びらのようなピンクのシフォン、オードリーヘップバーンのMy Fair Ladyの衣装はビートンで、帽子に至るまで計算し尽くされたモダンに固唾をのむのだった。

衣装展はマニア向けというわけでもなく、数もちょうどいいし、新旧バランスよく選ばれていて、1999年に森英恵ビルで同内容の展覧会がすでにあったらしい、学芸員の方にヒアリングがてら、資料を見せていただく。神戸という土地柄か、ちょっと立ち寄って見にいこうみたいなお嬢さん方が多かったとのこと。たぶん東京の方は、何かヒントになる収穫はないか、とメモこそせねど、目が血走ってるような(わたしのような)お客さんが多かったらしい。

あ、これはもしやと、見覚えのある古いVOGUE誌がいくつか出品されているのを見て思う。ビートンがファッション写真に本格的に参入していった時代。東京では展示されず、また京都にも巡回されるかわからないという神戸ならではの貴重な資料展示だった。元町商店街にある一風変わったカフェ Azuma は、わたしも時々逃げ込む喫茶店だが、LIFE誌が店内の壁に飾られており、ファッション好きにはたまらない戦前の稀少な海外のファッション誌も硝子の小さな戸棚に飾られている。学芸員の方もお店に行かれておられるらしく、特別にAzumaさんのご厚意でお借りし展示できたということだった。


4月某日 あなたの服


本日は新入生合宿という泊まりの仕事の後、目をしょぼしょぼさせながら、一度家へ戻って、タクシーでサンボーホールへと急ぐ。プロレス観戦にでかけるためだ。プロレスのコスチュームの研究を長らくしていたが、わたしは女子レスラー中心だった。しかし最近男子プロレスのヴィジュアルパフォーマンスもおもしろくて見逃せない。

NOAHという、社長の三沢光晴のカラーであるグリーンがシンボル色の団体。小川良成選手、かっこよかった! ランカシャー・スタイル(よくは知らない)と呼ばれるレスリングを得意とするテクニシャン。体は華奢だがしなやかで渋い動きをするベテランのレスラー。

白黒のゼブラ柄が彼の衣装スタイルだが、リングにあがるとすぐ、上半身裸の上に着用していたウェスタン風の黒い皮のヴェストを観客席に放り投げようとした。大ファンのわたしは、立ち上がるべきなのに、足が動かない。かなりいい席を取ってもらったので、ほんとうにすぐそば、目の前にいる。

ただ指を組んで祈っていた。手を伸ばして、声を出さなければ、求めてるものは掴めない。あかんたれのわたし。はじめてカメラを持ち歩かない自分を悔やんだ。連れていったもらった人はプロレスに詳しく、試合後は三宮のライブハウスで、シークレットライブならぬ三沢社長のトークショーがあり、それにも連れていってもらう。


4月某日 アクセル踏み損ね


やっと念願の生ガンズ(&ローゼズ)と思ったら延期やって。残念無念。チケット払い戻しはなく7月に延びたらしいが、これもあるのか怪しい、アクセルのダイエット失敗?などと一緒に行く予定だった友人と好きなことを言っている。

新しいタワー・レコード(アメリカの本体は倒産したが、日本は別会社で無事)の三宮店に大きな試聴サービスが入った。バーコードさえあれば何でも聴けるのが売りのようだが、わたしが選ぶCD選ぶCD、データが入ってないものならしく、聴けない。かえってストレスになるなあ。

結局聴けなかったのでそのまま一枚買う。欲しかったものは在庫しておらず、予約で時間かかりそうなので、アマゾンで買おうかと思う。最近通販をほとんど利用しない。理由のひとつに、わたしのクレジットカードの期限が切れているらしく、新しいカードは郵送されているはずなのに家のなかに見あたらないから。

欲しいCDがあるのだがミュージシャンの名前が思い出せない。目の見えないブルースシンガー。若くして亡くなり、不運な人生を送り続ける。あなたは誰?その高い声を一生懸命に思い出す。


4月某日 なぜかは知らねど


友人から横溝正史のドラマシリーズ「金田一耕助の冒険」というCDをもらう。70年代の曲ばかりでエレキと笛の音などがうまくミックスされている(アナログの復刻版)。恐がりのわたしは、これ深夜に聞くのはなあとおもいながらも、女の叫び声が三味線でカットされまたエレキに戻ってとなんだか不思議なかんじにただよっている。しかしなぜこれをわたしに?とはじめは考えこむ。

今、横溝正史ブームらしい。去年できた神戸文学館ではミステリー小説の企画展が行われているらしい。神戸は探偵小説発生の地らしい。このCDはコンピだが、そのなかでは断然わたしは茶木みやこ。声に弾かれる。CDくれた友人も小学校時代からのファンのようで、神戸に茶木みやこ呼ぼう!などと盛り上がっている。わたしたちの小さな茶木みやこ(ピンクピクルス)ブーム。


4月某日 watch that man!


家にあるシンセはやわらかすぎ最近欲求不満気味なので、ピアノを求めふらふら。弾きにおいでと言うてくれているお店はイベント中だった。あきらめて帰り道、古着物屋へ行くことにする。市場調査でよく出掛けている元町商店街。もともと老舗の呉服店が多いが、最近いろんな着物屋が新しくできている。

相変わらずパンク音楽かけてるおかしな古着物屋がお気に入り。店で着物売ってるお兄ちゃんの知識は豊富で、ぜんぜんひけらかさないのが心地がいい。臙脂色の梨地の素敵な反物を見つけた。安いし即買い。「京都染め」というラベルがついてた。どういう染め方なのだろう。

新しい店員かと思い声をかけたおばさんはお客だった。客が客に着物を見立てている。鏡の前で楽しそうに話しをするおばさま方。このBGMで大丈夫なんかなあ。わたしとしてはずっと変えて欲しくない。着付けミュージックというのが、着物好きの友との間での話題になるが、わたしは絶対パンクロックでないと着付けできないのだ。


4月某日 おおきな魚


大好物のタケノコが田舎から届くというので、急遽実家に帰ることに決めた週末。しばし大阪で羽を伸ばすつもりが、一緒に届いた魚たちと格闘することに。結局メインになったのがカワハギ9匹、鯛3匹。鯛は体長30センチはあり、鱗取りや骨抜きだけでも大仕事。朝まで生きていたらしく、お刺身にすることになり、頭は煮付けにしたけど、このあら煮がわたしにはたまらない。おろすのが大変そうなので、大量の塩で固めるオーブン料理を提案したら、母に却下される。いわゆるカワハギのキモ目当てに家族や親戚が集まったが、カワハギの皮はほぼすべてわたしが剥いで、食べる頃にはへとへとに。作業を手伝うとおいしさもひとしおだった。

家帰る前に久々に立ち寄ったブックカフェのアトリエ箱庭では同店発行の冊子「Dioramarquis」のvol.2があがったばかり。わたしも原稿書いたが、去年ロンドンから帰ってきてすぐ書き下ろしたので、懐かしいかんじだ。一風変わったロンドン・ガイドとして読んでもらえるといいなと思う。わたしのエッセイは、もうすぐスタートするらしいアトリエ箱庭のサイト上にアップされるらしい。

雑誌の目玉になる特集は、わたしも興味があるプラトン社。大正から昭和初期、クラブ化粧品などで有名な中山太陽堂を母体に持つ出版社だ。「女性」という雑誌や、当時の有名な小説家の書籍などを作っており、阪神モダニズム文化を担ってきたところ。資生堂のデザイナーになった山名文夫なんかも「女性」のイラストを描いている。

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