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アンファッショナブル・ファッション日記 2007年12月

No.4 (2007年12月)

12月某日 ブリキの湯たんぽ


今年は秋らしい秋もなく気付いたら冬だった。だいぶ冷え込んできたので、去年買った湯たんぽを出している。使いはじめたきっかけは、しもやけがどんなことをしても治らなかった友人が、5本指ソックスと湯たんぽで完治したらしく、その優秀さを熱く語っていたからだ。

その湯たんぽ、今年ブームだというではないか。湯たんぽといっても、色がカラフルで、形もさまざま、プラスチックなどの軽状なものが売れてるらしい。わたしはしもやけもないし冷え性でもないけれど、不眠気味でふとんに入るのが憂鬱だったのが解消された。

友人の強い勧めにより昔からのブリキのものを使っている。お風呂に入った後、熱湯を入れ、眠る前にふとんのなかの足元のあたりに入れておく。去年はタオルを巻いていたけれど、今年は自分で布を買ってきてカバーを作っている。火傷しないようにという安全性はもちろんのこと、表面が濡れていても大丈夫で、汚れるのを防ぐという機能性もかねている。

経済的で、地球にやさしい、そして可愛いというのが新しい湯たんぽの歌い文句らしい。わたしもよく眠れるようになったし、エアコンの温度を上げるよりも、体の芯まであたたまるような気がする。カバーを作るのが面倒なら、手ごろな枕カバーでも代用できる。昔の人は朝になると湯たんぽのなかのぬるま湯で顔を洗ったらしい。


12月某日 サバイバルミナリエ


本日締め切りの書類をなんとか仕上げ、一番近くて一番遅い時間まであいている郵便局へ急ぐ。郵便局に場所の確認しようと電話すると、そこはルミナリエ会場を通らなければならないらしい。

こんなときこそ携帯のカメラで撮影、と思うも、わたしのモトローラは不器用で有名なので、光が真っ白にぼけて映るだけ。色鮮やかな電飾はそこには納まらず、夜の風船がぼんやり浮かんでいる。しばし観光客気分でゆっくりしたかったが、そのあとも用事に出かけねばならず、駆け足で通り過ぎた。

震災復興を願って始まった神戸のルミナリエ。今年で13回目。現在冬ののイルミネーションは色んな所で行われていて珍しいことでもないが、ルミナリエの光には特別な意味がある。財政難で来年開催は危ういとささやかれてるので、いつもより多い目に募金した。みんな募金すればいいのになあ。


12月某日  友人の論文


今ゼミくらいの規模で英語の文献を読む授業で、ヴィヴィアン・ウエストウッドについて書かれた論文を読んでいる。イギリスらしさとは何か、ファッションにとってのナショナル・アイデンティティについて考える。これは若い学生たちに、現代ファッションのなかの「日本らしさ」という戦略について考えるきっかけにもしたい。

朝一コマ目からの授業もあり、週二回となかなかハード。できるだけ映像資料も提供できるように、コレクション映像やインタビューを見せたり、インターネットなどでファッションだけでなく絵画(ヴィヴィアンは絵画にも大きな影響を受けてる)も例証したり、とても有意義で、自分でもやってておもしろい授業だ。

英語をいかに読むか、ただ翻訳するだけでなく、どう読み取るのか、問題意識を持ち、議論できるようなところまで狙いたい。この論文の入った本は、イギリスに出張したとき購入していたが、一年後、ロンドンでその論文の著者とひょんなことで知り合いになった。

彼女とわたしは同じ誕生日、ヴィヴィアンウエストウッドの研究を同じ時期から始めていた。同じような問題意識を持っていたこともあり、とても仲良くなった。おまけに当時住んでいた所が同じ南ロンドン、そして家もご近所さんだったことで縁は続く。彼女は美術史、わたしは人類学だったが、10年前には同じロンドン大学で学んだこともわかった。

忙しさにかまけて、今年は彼女にクリスマスカードが送れなかったことを思い出した。授業が終わって論文を全部読み終えたら、連絡してみようと思う。いい文章書いてるなあ、地道に研究してるなあ、と彼女のテキストに学びながら、ロンドンの賑やかなクリスマスに思いを馳せるのだった。


12月某日 やわらかい手


もうすぐ今年も終わろうとしている。12月に入ってから、なんだか記憶がない。毎週毎日のように何かしら締め切りに追われていてあっという間だった。冬のシーズンは何かとイベントが目白押しなのに、ほとんどのお誘いを断り、授業と締め切りをこなすのに精一杯。

先月書いたタイガース本の書評のおかげで、その作者にお誘い頂き、地元の名士で成る「神戸岡田会」主催の夕べに招待された。はじめは、わたしなんかおこがましい、と思い、まわりのタイガースファンにも恨まれる、と思い、神戸のホテルで行われるらしい盛大なパーティに畏縮していたが、そもそも書評を依頼してくれた記者も誘ってくれて、結局行くことに。

岡田監督、広沢コーチ、久保田投手、そして上園投手が会場にいる。なんか夢みたいだ。タイガース本の作者である改発記者と初めて挨拶をする。料理もとてもおいしかった。参加している人たちはみんな選手たちと写真を撮りたくて声をかけずにいられない様子。

プレゼント大会では、サイン色紙やパネルなどの他、ユニフォームやミットなどが参加者に当たる。タイガースのユニフォームを着ているちびっ子がサイン入りのミットを当てたようだ。「誰の当たったん?」と声を掛けると、「久保田さん」と礼儀正しく答えた。「ええピッチャーになりや」と言うと、「はい」と元気良く返事して、恥ずかしそうに走っていった。

一番最後のプレゼント、岡田監督のサイン入りユニフォームを当てたのは、番号「80」を持っていた少年。監督の背番号である偶然に会場がどよめく。わたしは上園選手と握手してもらった。投手なのに手がぜんぜんごつごつしていない。投手だから手を大事にされているのだろう。飾らない素顔に触れてますますファンになってしまった。


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