週刊ファッション情報

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アンファッショナブル・ファッション日記 2008年12月

No.8 (2008年12月)

12月某日


実家近くにおもしろい古着屋ができた。その名も「ありえへん倉庫」。わたしはジョンブルのワークパンツを、妹はカシミア100%のセーターをなんといずれも千円以内で買うことができた。ありえへん!!商品点数が多くて、見ていてあきない。掘り出し物を探すのにもってこいのお店。近所のおっちゃんやおばちゃんの常連さんがいるらしく、「前いうてたジャンパー入った?」とか言いながら店に入ってくる。買い物帰りに気軽に寄っているのだろう。地元の古着屋さんって感じで町に根付いていて、いいなあ。また、行こ。


12月某日


妹と『東南角部屋二階の女』を見に行く。この映画に出演している西島秀俊さんの大ファン。あんまりないことなのだが、ふとした話のなかで妹もファンだったことを知ったばかりで、一緒に映画行こうともりあがり。わたしはインディペンデントな作品によく出ていた90年代からファンだ、と言い、しかし妹の方が最近の活動をよく追いかけているので、わたしの知らない情報をいっぱい持っている。妙な張り合い。わたしが彼を好きになったきっかけは、諏訪敦彦監督の『2/DUO』という映画。柳美里の妹と一緒に主演していて、ゴダールみたいな即興作品で映画そのものも大好きだった。仕事帰りに映画館に駆け込んだため、疲れていて上映中寝入ってしまう。終わってから妹に筋を確認するとどうやらクライマックスを見逃したようだ。まあよくあることです。


12月某日


首を長くして楽しみに待っていた「新国誠一の<<具体詩>>展」へ行く。場所は大阪の国立国際美術館。コンクリートポエトリーの作家の作品と著作の展示。副題に「詩と美術の間に」とある。今日は初日で足立智美さんのパフォーマンスがある。足立さんの新国詩パフォーマンスは、2003年冬、経堂アペルで初めて見て、去年の夏、六本木国際文化会館での新国誠一没後30周年記念イベントでも見たことがある。以前は「朗読」という枠にとどまってる感じがしなくもなかったが、今回のパフォーマンスは緊張がほぐれたかんじでとてもアニメットな仕上がりになっていてよかった。今日は書ききれない程いろんな方にお会いできてとても楽しかった。


12月某日


「新国誠一展」オープン二日目。レクチャーデイ。評論家の金澤一志さんがしゃべられるというので、ぜったい聞きにいかなきゃ。父を誘って出かける。新国誠一の活動はだいたい25年にわたっているが、そのうち二つの10年間にきれいに分かれるという。病弱であったこと、コンクリートポエトリーの存在のあいまいさと可能性、海外のアーティストとの今でいうコラボレーション、<詩>ジャンルのなかでの具体詩の位置、など、展示やカタログには載っていない色んな重要キーワードが話のなかで網羅されていて感動してしまう。帰り、10月に開通したばかりの京阪電車中之島線にはじめて乗り、大江橋で下車、新しくできた天牛堺書店を父とのぞく。わたしが原稿書いたピストルズ本がワゴンのなかに出ていた。淀屋橋まで歩き、ミスタードーナツで珈琲飲んで帰る。


12月某日


ちょっと興奮している。学生からメールが入り、なんと数年前再結成したという噂が記憶に新しいニューヨークドールズのライブで前座をはるという。つきましては、わたしを真っ先に誘いたい、と、言ってくれているらしい。ちょうど今日はヴィヴィアン・ウェストウッドの英語論文読む授業で、マルコムマクラーレンがドールズのマネージメントした話をしたところだ。あんたら、ニューヨークドールズ、知ってるんかあ。水野くん(学生さん)のバンドは、TOY LET というらしい。ちょっと笑えるバンド名だが、音はごりごりハードコアだ。僕らのバンドは無理して見なくていいですから、と言うが、絶対見るよね~!!教師冥利につきます。ちなみにわたしは今は亡きジョニーサンダースが好きでした。


12月某日


第三詩集のリリースが近づいてくる。装丁家の高林さんから、カバーの色校正が送られてくる。中身いらんやんっていうほどキレイ。高林さんには今回編集の過程ですごくお世話になった。強くて澄んだ正しい装丁をなさる方で、わたしにはもったいない。書店用の注文ちらしも作ってくださり、同送されてきた。詩集のタイトルは「刺繍の呼吸」。去年の夏の個展で書き下ろした同名の作品を、表題作として深夜叢書の社主齋藤さんがタイトルに選んでくださった。展のときは、この詩一篇を画家の戸田さんに装本してもらったのだが、同じタイトルでも別の人の手にかかり一冊の本になるとちょっと違う雰囲気になっている。1999年から2008年までの作品で、全160ペイジでかなり厚い。みなさん、よかったら、みてやってください、もし気に入ったら、買ってやってください。カバードローイングは造形作家の佐藤貢さん。仮フランス装。「仮」っていいなあ。


12月某日


京都へ出張。京都近代美術館で来年4月から開催される「ラグジュアリー:ファッションの欲望」のプレセミナーに行く。会社時代の同僚と。夜はニューヨークドールズのライブ。結局学生のバンドのステージには急いだけれど間に合わなかった。Lonely Planet Boy に感動した。ライブが終わってから、CDにサインをもらうため、バックステージに入れてもらう。 ギタリストのSylvain はムードメーカーでとても気さくだ。To a Lonely Planet Girl って書いて、と頼んだら、To Lonely Planet Doll って書いてくれた。Girl よりDollのほうで恥ずかしいけど、感激。わたしは今日は全身ヴィヴィアン。Sylvainもセディショナリーズ風のカウボーイファッションで、オーブマークの帽子やらビニルのピストルケースなどを見せられる。すっかり古びていい味が出ていた。きっと当時のものなのだろう。今まで一生懸命働いてきて良かった。学生がわたしをドールズのライブに招待してくれるなんて。今日はなんて幸せな日なんだろう。


12月某日


パソコンやっとなおった、と思ったら、今度は携帯電話が壊れました。修理には来年までかかるという。不器用モトローラの代わりに借りたのは最新機種で実に軽くて器用なかんじの携帯電話。不器用モトローラの中に入っているほとんどのデータは失われる。データ送信ができないんですって。メールや写真やいろいろなものとさよならする。痛いのは伝言メモだったりします。あなたの声!!


12月某日


年末が近づくに連れて、頭がもうろうとしてきた。仕事がたまっていて、睡眠不足。先日久しぶり会って、元気なかった人に、仕事帰り大好きなドーナツ屋「はらドーナツ」を差し入れた。最近東京にも店舗を出したらしく、かわいいHPまでできてる!映写技師のその人の仕事場で、自分も一つ食らう。映写室で上映していた映画はとても古くて、カラーなのに赤味がかっていてフィルムが遜色しているようす。もうちょっと覗いていたかったが、わたしは別の映画館へすぐに移動。西島秀俊が死刑囚役で出ていて話題だった『休暇』を観るため。やっぱり西島秀俊さん、かっこいいです。今年中にもう一本封切りされている彼の映画を見に行く予定。


12月某日


古い服装雑誌がだいぶ集まってきたこともあって、昔の花嫁衣装に興味を持っています。同時代の無名の女流作家の小説なども読んでいます。この小説を入手するのに時間がかかり、いろんな人の手を煩わせてしまいました。最終的には夏目漱石の末裔の方( ! )の手を通して、わたしのところにコピーが渡ったということ。どうしても読みたくて。かなりしつこいです、わたし。年内にはなんとか論文にできるといいな。ところで。求婚されたと思うのです。公衆の面前でした。いままで求婚されたことはこれでも何度もありますが、どれもすべてなにか信じることができなかった。わたしもいままでで一度だけ求婚したことがあります。手紙でしたが、結果は公衆の面前で断られました。わたしは結婚したいような、したくないような。あなたは結婚できるような、できないような。公衆の面前だから、逃げられないので、お互いに。さあ、物語はどうなっていくのか。生活より衣装に興味があります。続きは、来年に。みなさま、よいお年を。


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