No.9 (2009年3月)
3月某日
道頓堀川で24年前阪神タイガースが優勝した際に投げ込まれたカーネルサンダース人形が見つかったらしい。胴体のみ。死体があがってくるのを待つように下半身部分があがってくるのを待つ様子をテレビで実況している。阪神ファンたちは、真弓新監督による新生タイガースの優勝祈願で帰って来た、などと言っている。最近ユニクロがパーカーを売り出し、東京ガールズコレクションなどと共同企画して話題をよんでいたが、こちらは先日タイガース公式のパーカーを購入して、どんな風に着こなそうかなと考えているところ。奈良や大阪方面から甲子園に出るのに便利な阪神なんば線ももうすぐ開通する。なんだかそわそわわくわくする春である。
[Keith Jarret『The Koln Concert』]
3月某日
久しぶりに京都へ出る。本日は用事が二つ。午後から繊維メーカー時代の先輩の結婚式。彼女はクリスチャンなので、純然たるキリスト教式の結婚式。以前ウェディングドレスを見せてもらったことがあり、彼女自慢のクローゼットの中で大きなスペースを占拠していた。オルガンとともに新郎新婦が入場すると、あ、あのドレス!と思うと涙が止まらなくて。横にいた友人も鼻をぐすぐすさせている。美しいビーズの光に彩られた、クラシックな白いドレス。チャペルは式が終わるとティーパーティ会場になる。教会の方々がカナッペやクッキーなどすべて手作りされたとのこと。心がこもっており、味もとてもよい。贅沢な披露宴ではないがつつましくとてもセンスのよい祝宴だった。その夜は京都市内に戻って後輩の壮行会。東京にある大学に就職先が決まり京都を離れるという。忙しいと思うけど身体に気をつけて。長崎で新聞記者やっている後輩にもとても久しぶりに会うことができた。福山雅治を取材した話などを聞いて、写真を送ってもらうよう約束する。
[西松布咏『儚hakana』]
3月某日
この週末人前で話をすることになった。そろそろその準備に取りかからねばならない。これまでやった女子プロレスのコスチューム研究と資料や映像を出してきて、どうまとめようか、考えるのだがまったく進まない。女子プロレスラー達に出会った頃の情熱がもはや失せてしまっているのか。一緒にお話させてもらうのは、風俗史家の井上章一さん。井上さんは年明けに京都の老舗ジャズライブハウスのレーベルからはじめてのCDを出された。40才過ぎてからピアノを始められ、いまはジャズのスタンダードナンバーを弾きこなしライブもされる。CDを頂いたのだが、これがとても良い。トークのテーマは「スポーツ、コスチューム、エロティシズム」。どうまとめようかなあ。
[井上章一『アダルト・ピアノ』]
3月某日
3月は授業がなくなり少し時間ができるが、いろんな仕事が滞っている。トークセッションはなんとか無事終了し、論文1本と原稿に取りかかる。このあいだの結婚式で半年ぶりにあった友人から郵便物が届く。彼女は待ち合わせの駅でわたしを待っていてくれたのだが、一瞬いや十瞬たっても彼女だとはじめわからなかった。半年間で15キロ(!)も痩せたらしい。20年ほど前、つまり出会った頃の体重に戻っただけということ。しかしそんなに増量していたのか。というよりそんなに減量できるものなのか。自分をストイックにコントロールし、美しいからだを作っている様子には、素直に感動をおぼえる。彼女が痩せようと思うきっかけになったという、15年前の「暮らしの手帖」の切り抜きをコピーして送ってきてくれた。古い「暮らしの手帖」というのが彼女らしい。
[Steve Leich 『Drumming』]
3月某日
3月最後の週末。桜が咲き始めた。友人にお茶会に誘われた。カジュアルなアンティーク着物をお茶室に着て行くわけには行かず、江戸小紋を久々に着ることにし、前夜二度ほど着付けの練習。帯は唐子が描かれているもの、羽織は詩の師匠にもらったもの。淡い紫の重ね襟を夜なべして縫い付ける。お茶会の後は、友人をアトリエ箱庭に連れて行く。本の展示が行われていた。東郷青児についての書物を出版されたばかりの野崎さんがいらっしゃって、展示と関連したお話をすることもできた。翌朝、起きたら首がまわらない。どうやら着物を着たためか、日頃使わない筋肉を使ったせいで、ムチウチなみの症状。ベッドから起きようとするも、頭部を手で持ち上げないと動かないくらい首が痛い。恐るべし和服、伝統の重さ。なめたらあかん。
[RAMONES『Rocket To Russia』]