其の十一:モード派おばあちゃん誕生の地

孫と共有するテイスト感

東京駅というところは、企業のビルばかりで殺風景なところだ。そんなイメージを払拭するかのように丸の内が変わった。どう変わったと言うと2002年9月6日にグランドオープンした丸ビル。丸ビルは、開業半年間で総来場者数が約1,320万人を数え、売上は170億円と予想を大きく上回る結果となった。その内訳の資料は公表されていないが、とにかく、70歳前後のシルバー世代の女性が多い。21世紀の彼女達は、老人と言うよりも達人と呼ぶにふさわしい。どう達人なのかと言うと遠いところからでも、美味しい食事にありつけると聞けば、労力を惜しまず食べに来る。

70歳前後の人達は、1945年からの戦後復興期が青春時代。お洒落が開放され、映画や有名スターのモードや洋服に憧れた世代。どうしても着たいが、既製服がまだなかった頃、一生懸命、洋裁を習って、布地を買い、自分でミシンを踏んで洋服を作った人達も多い。だから、プリントやジャガードなど柄物を好む傾向にある。無地では見栄えがしないのと柄物なら多少の縫製での失敗やアラが見えないのが理由かも。ブランド品ではなく、高級品を好んで使うのは、縫製やパターン(型紙)などが解っているからなのだろう。既製品とは一味違うモノを探してくる達人でもある。じっくり観察するとそんな彼女たちとティーンエージャーの趣味が、似ているように思えて仕方がない。ファッションはスパイラル(螺旋状)に流行を繰り返すという説に納得した丸ビルであった。9月6日丸ビルオープン日は、モード派おばあちゃんの誕生日でもあった。

2003.5.3 (和)

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